血液透析患者の透析中における血糖動態について

  • 津田 圭一
    東邦大学医療センター大森病院臨床工学部
  • 今村 吉彦
    日産厚生会玉川病院透析センター
  • 芝本 隆
    東京医科歯科大学医学部附属病院血液浄化療法部

書誌事項

タイトル別名
  • The evaluation of blood sugar kinetics during dialysis
  • ケツエキ トウセキ カンジャ ノ トウセキチュウ ニ オケル ケットウ ドウタイ ニ ツイテ

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説明

目的:透析液ブドウ糖濃度と血糖値を考慮すると理論的には血糖値が透析液濃度を下回ることはないが,透析中に低血糖症状を訴える症例を経験する.この原因は生体側の因子が関与すると考え,血糖動態と赤血球の関係について検討した.方法:1.基礎検討:生理食塩水1,000mLを流量100mL/minでダイアライザー血液側に120分再循環し,経時的にブドウ糖濃度を測定した.透析液ブドウ糖濃度は0,100,150mg/dLを用い,ダイアライザーAPS-15Sを使用した.2.臨床検討:対象は慢性維持透析患者42例(NIDDM群18例,IDDM群6例,CGN群18例)で,透析液ブドウ糖濃度150mg/dL,ダイアライザーAPS-15S,血液流量150~200mL/min,透析液流量500mL/minである.1) 開始時と2時間後にダイアライザー入口部より採血した.採血した赤血球成分1mLに0.5%ブドウ糖溶液0.5mL注入した.コントロールとして生理食塩水0.5mLを注入した.37℃で保持し経時的に血糖測定した.2) ダイアライザー内血糖動態観察のため,ダイアライザー出入口の血糖を経時的に測定した.結果:1.透析液ブドウ糖濃度0mg/dLで血液側への拡散はなく,100,150mg/dLでは30分後から血液側と透析液側のブドウ糖濃度は一致した.2-1) 開始10分後の赤血球に0.5%ブドウ糖溶液添加時の血糖値はNIDDM群1.8%,IDDM群-4.5%,CGN群4.1%で,生理食塩水添加時は3群で異なった変動を示した.開始2時間後は0.5%ブドウ糖添加時でNIDDM群-3.8%,IDDM群4%,CGN群-4.3%だった.2-2) 3群とも出口部の血糖値は透析液ブドウ糖濃度を下回った.結語:NIDDM群,IDDM群,CGN群では血糖動態は異なり,IDDM群の血糖値低下の機序に赤血球の関与が考えられた.

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参考文献 (11)*注記

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