腹膜透析(PD)カテーテル抜去後に左卵巣粘液性嚢胞性腫瘍の穿破による腹膜偽粘液腫を発症した1症例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of mucinous tumors with borderline malignancy in the left ovary with pseudomyxoma peritonei after peritoneal catheter removal
  • 症例報告 腹膜透析(PD)カテーテル抜去後に左卵巣粘液性嚢胞性腫瘍の穿破による腹膜偽粘液腫を発症した1症例
  • ショウレイ ホウコク フクマク トウセキ PD カテーテル バツキョゴ ニ サランソウ ネンエキセイノウホウセイ シュヨウ ノ センハ ニ ヨル フクマク ギ ネンエキ シュ オ ハッショウ シタ 1 ショウレイ

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抄録

症例は54歳,女性.平成3年,IgA腎症による慢性腎不全のため腹膜透析(PD)を施行し,平成12年から血液透析(HD)を併用した.平成19年6月,PDカテーテルを抜去した.その直後から腹水の貯留を認めるようになり,被嚢性腹膜硬化症(EPS)を疑い副腎皮質ステロイド内服治療を行ったが,腹水は改善しなかった.平成20年2月,腹痛と血圧低下で緊急入院し,腹水穿刺でゼリー状の貯留液を認めた.直ちに腹部MRIを行ったところ,左卵巣腫瘍の腫大と腹腔内に多量の腹水を認め,卵巣腫瘍と腹膜炎を疑い緊急手術となった.開腹所見では,左卵巣の腫大と多数の大腸憩室,腹腔に充満したゼリー状内容物を認め,回盲部周囲の内容物は混濁していた.病理組織所見から左卵巣の粘液性嚢胞性腫瘍の穿破による腹膜偽粘液腫と憩室炎による腹膜炎と診断された.PD中止後の腹水貯留に対して,体液過剰やEPSのみならず,稀ではあるが粘液や漿液産生腫瘍などの発症も考慮し,病態の検索が必要であると考えられた.

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参考文献 (19)*注記

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