肺癌胸壁浸潤か胸壁腫瘍肺浸潤かの鑑別が困難であった扁平上皮癌の1切除例

  • 中根 茂
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 呼吸器外科
  • 中川 勝裕
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 呼吸器外科
  • 岩崎 輝夫
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 呼吸器外科
  • 桂 浩
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 呼吸器外科
  • 田村 光信
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 呼吸器外科
  • 河原 邦光
    大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 臨床検査科

書誌事項

タイトル別名
  • Differential Diagnosis of Squamous Cell Carcinoma Difficult to Distingush Between Primary Lung Cancer Tumor Invading the Chest Wall or Chest Wall Tumor Invading the Lung

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説明

背景.肺癌の胸壁浸潤か胸壁腫瘍の肺浸潤かは通常肉眼的組織学的に鑑別しうるが,ごく稀に原発部位が不明な腫瘍を認める.症例.患者は43歳男性.主訴は背部痛.胸部CTでは右S6に,ブラに接する5 cmの腫瘤が胸壁に浸潤していた.気管支鏡下生検にて診断がつかず,原発性肺癌の胸壁浸潤を疑い開胸した.術中針生検にて扁平上皮癌と診断され右下葉切除,胸壁合併切除,及び縦隔リンパ節郭清を施行した.病理所見では腫瘍は低分化型扁平上皮癌と診断され,ほぼ胸壁に限局していた.弾性線維染色では臓側胸膜の弾力膜を超えた肺実質内部への浸潤をほとんど認めなかった.以上より原発性肺癌とは考えにくく,胸壁への転移性あるいは胸壁原発の扁平上皮癌が疑われた.術後他臓器の検索を行い,18F-fluoro-2-deoxy-glucose positron-emission tomographic scanにて直腸肛門部に強い集積を認めたが,切除にて膿瘍と診断された.さらに上部及び下部消化管,耳鼻科領域などの精査も行ったが原発巣と考えられる病変は発見できなかった.結語.術前原発性肺癌の胸壁浸潤を疑い切除したところ,転移性あるいは原発性の胸壁扁平上皮癌の肺浸潤と考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 47 (4), 367-372, 2007

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (17)*注記

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