原発巣と転移巣がともに当初から薄壁空洞を呈した肺扁平上皮癌の1例

  • 大塚 倫之
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科 大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学
  • 細野 裕貴
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科
  • 石島見 佳子
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科
  • 上浪 健
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科
  • 矢野 幸洋
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科
  • 森 雅秀
    国立病院機構刀根山病院呼吸器腫瘍内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Pulmonary Squamous Cell Carcinoma with a Primary Lesion and Multiple Pulmonary Metastases Presenting as a Thin-walled Cavity

抄録

<p>背景.肺癌では時に病巣の空洞化がみられるが,薄壁空洞を呈する症例は少ない.症例.55歳男性.X-3年6月に右上葉S2bの肺化膿症に罹患したが,この時既に右上葉S2aに14 mm大の嚢胞様病変が存在していた.その後,近医で経過観察中に右S2の病変が増大したため,X年11月当院へ再紹介された.胸部CTで右S2からS6にまたがる77 mm大の薄壁空洞病変を認め,尾側では空洞壁が肥厚していた.また両側肺野に大小様々の転移巣を認め,いずれも薄壁空洞を呈していた.肺扁平上皮癌と組織診断し,cisplatinとdocetaxelによる癌化学療法3サイクルを行った.原発巣と転移巣は,いずれもさらに薄壁化し嚢胞様を呈した.薄壁空洞を形成する機序として様々な仮説が報告されているが,本症例ではチェックバルブ機構の関与を疑った.結論.薄壁空洞性病変においても,肺癌の可能性も想定して注意深い経過観察が必要と考えられた.</p>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 56 (5), 385-389, 2016

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (10)*注記

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