心嚢液細胞診にて悪性リンパ腫を推定し心臓原発が疑われた1例

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  • Cytological findings from pericardial fluid of malignant lymphoma, suspiciously arise from the heart-A case report-

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背景 : 心臓に発生する腫瘍の大部分は転移性で, 心臓原発腫瘍の頻度はきわめてまれである. 今回, 心嚢液細胞診で悪性リンパ腫を推定し, 臨床的に心臓原発悪性リンパ腫 (Primary cardiac lymphoma : PCL) が強く疑われた 1 例を経験したので報告する.<br>症例 : 63 歳, 女性. 心不全の疑いで当院紹介入院. 画像検査で多量の心嚢液貯留および心臓右室に腫留が認められた. 心嚢液細胞診では細胞質内空胞を有する N/C 比の高い細胞が散在性に多数認められ, 単調な細胞像を呈していたため, びまん性大細胞型 B リンパ腫を推定した. 心筋生検の組織診では高度に挫滅した細胞密度の高い異型細胞が, 横紋筋線維間に入り込む像が認められた. 挫滅が強く組織像は特定できなかったが, 細胞の配列の様子から悪性腫瘍の浸潤像が疑われた. 免疫染色では CD20 陽性, CD5, CD10 陰性であった.<br>結論 : 悪性リンパ腫はどの臓器にも発生しうる疾患であり, 確定診断による治療法の選択は予後を大きく左右する. 本症例のようにカテーテルによる心筋生検では組織が挫滅しやすく, 病理組織診断が困難となることがある. 細胞診を併用し診断を的確に下すことは治療上重要な意義をもつ.

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