胆汁・胆管擦過細胞診標本上に転移性乳癌細胞が出現した 1 例

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  • Metastatic breast cancer suggested by bile juice and biliary brushing cytology—A case report—
  • Metastatic breast cancer suggested by bile juice and biliary brushing cytology—A case report—

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抄録

背景 : 乳癌の十二指腸転移は比較的まれであり, 胆汁・胆管擦過細胞診に乳癌細胞が出現することはさらにまれである. われわれは細胞診にて乳癌の十二指腸転移が示唆された 1 例を経験したので報告する. <br>症例 : 60 歳代, 女性. 200x 年に左乳房全切除術が施行され, 浸潤性乳管癌と診断された. 5 年後に黄疸・嘔吐・下痢・肝胆道系酵素の上昇と十二指腸乳頭部に腫瘤を認め ERCP が施行された. 十二指腸乳頭部腫瘤の生検では, 拡張したリンパ管内に原発巣と類似した異型細胞巣を認め, 免疫染色結果もあわせて乳癌の転移と診断された. 総胆管狭窄部の擦過細胞診, 胆汁細胞診標本には N/C 比が高く, クロマチンの増量した異型細胞を散在性~小集塊として認めた. 良性細胞集塊と異型細胞集塊との間に連続性が確認できなかったため転移性腫瘍を疑い, 病歴とあわせて乳癌の転移を考えた. また, 転写した異型細胞に対する免疫細胞化学も, 乳癌に矛盾しない結果となった. <br>結論 : 胆汁・胆管擦過細胞診において悪性細胞が出現した場合には, 周囲の良性細胞集塊との連続性や病歴を確認し, 転移性腫瘍の可能性も考慮する必要がある. また, 転写法による免疫細胞化学的診断が有用であった.

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