働くがん患者の就業配慮における産業医から見た治療医との連携に関する調査

  • 古屋 佑子
    国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援研究部 産業医科大学産業医実務研修センター
  • 高橋 都
    国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援研究部
  • 立石 清一郎
    産業医科大学産業医実務研修センター
  • 富田 眞紀子
    国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援研究部
  • 平岡 晃
    国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援研究部 産業医科大学産業医実務研修センター
  • 柴田 喜幸
    産業医科大学産業医実務研修センター
  • 森 晃爾
    産業医科大学産業医実務研修センター 産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Survey of Information Sharing Related to the Occupational Considerations of Working Cancer Patients Between Occupational Physicians and Treating Physicians
  • ハタラク ガン カンジャ ノ シュウギョウ ハイリョ ニ オケル サンギョウイ カラ ミタ チリョウイ ト ノ レンケイ ニ カンスル チョウサ

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抄録

目的:疾患を持つ労働者への就業支援において,労働者本人,治療医,企業(産業保健スタッフ)間の連携は欠かせないが,どのような要因が関係者の連携を促進または阻害するのか,その詳細は明らかではない.本研究の目的は,産業医と治療医の連携場面に着目し,治療医のどのような行動が産業医による就業配慮を促進・阻害するのか明らかにすることである.方法:産業医科大学の卒業生である産業医のうち,4年間の卒後修練コース修了者および産業医実務研修センターの教員・元教員計43名に対して自記式質問紙調査を実施した.質問紙では,個人属性(年齢・産業医経験年数・臨床経験年数など)と,職場での就業配慮に役立った治療医の行動(良好事例),結果的に妨げとなった行動(困難事例)を質問し,事例は自由記述で回答を得た.事例の内容は,KJ法を参考にして質的に分析した.結果:2013年12月17日~2014年1月18日までの調査期間中に,33名から回答(有効回答率76.7%)があった.回答者の平均年齢は37.4±6.1歳,60.6%は専属産業医であった.良好事例は32例,困難事例は16例提供された.連携のタイミングは全48例中35例(72.9%)が復職時であった.就業配慮に影響した治療医の行動の内容は,「治療経過および今後の治療計画の提供」,「健康情報の提供」,「復職・就業配慮の妥当性」,「提供情報の一貫性」,「文書の発行」,「産業医の存在を意識したコミュニケーション」「本人が知らない情報の提供」の7種に大別された.考察:本研究により,治療医のどのような行動が産業医の実施する就業支援に関連しているか,明らかとなった.また,産業医と治療医との情報共有の必要性も,明確にすることができた.調査対象者から寄せられた良好事例と困難事例は互いに表裏の関係にあり,良好事例に準じた行動を治療医がとることで,円滑な情報共有および就業配慮に結びつく可能性が高いと考えられた.

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 58 (2), 54-62, 2016

    公益社団法人 日本産業衛生学会

被引用文献 (9)*注記

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参考文献 (3)*注記

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