就労環境における慢性痛の実態調査~仕事に影響する慢性痛のリスク因子の検討:QWLICスタディ

  • 山田 恵子
    大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学 大阪大学医学部附属病院疼痛医療センター
  • 若泉 謙太
    慶應義塾大学医学部麻酔学教室
  • 深井 恭佑
    株式会社リードウェル
  • 磯 博康
    大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学
  • 祖父江 友孝
    大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座環境医学
  • 柴田 政彦
    大阪大学医学部附属病院疼痛医療センター 大阪大学大学院医学系研究科疼痛医学寄附講座
  • 松平 浩
    東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座

書誌事項

タイトル別名
  • Study of chronic pain and its associated risk factors among Japanese industry workers: the Quality of Working Life Influenced by Chronic pain (QWLIC) study
  • シュウロウ カンキョウ ニ オケル マンセイツウ ノ ジッタイ チョウサ : シゴト ニ エイキョウ スル マンセイツウ ノ リスク インシ ノ ケントウ : QWLIC スタディ

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抄録

<p>目的:就労環境における慢性痛の実態,及び慢性痛が仕事に影響する重症例でのリスク因子を明らかにする.対象と方法:大手製造業A社の首都圏にある1事業所,上記とは別の大手製造業B社の関西圏にある1事業所,及び大手小売業C社の関西圏にある16店舗,計3社18施設の被雇用者を対象に,「からだの痛みに関する調査研究アンケート」を施行した.A社B社では参加者の同意を得たうえでアンケートデータと企業健診の問診データを突合し,基本集計を行うと共に,対象者の生活習慣や心理社会的因子と慢性痛有症との関連について,性年齢調整ロジスティック回帰分析を用いて分析した.結果:調査対象2,544名のうち1,914名(男性1,224,女性690名)から有効回答が得られた(有効回答率75.2%).3か月以上持続する慢性痛を有するものは全解析対象者の42.7%であり,仕事に影響する慢性痛を有するものは全解析対象者の11.3%であった.痛みのない群と比較して,仕事に影響する慢性痛群は,肥満,喫煙習慣,不眠症,ワーカホリック度の高さ,上司・同僚からの支援の乏しさ,仕事の満足度の低さ,仕事の要求度の高さ,仕事のコントロール度の低さ,心理的ストレスの高さ,抑うつ状態と有意に関連があった.考察と結論:就労環境における慢性痛とそのリスク因子の実態が一部明らかとなった.産業衛生分野において健康関連リスク因子として重要視されてきた,肥満,喫煙,不眠症,職場環境,心理的ストレス,抑うつは職場の慢性痛対策をおこなう上でも重要であることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 59 (5), 125-134, 2017

    公益社団法人 日本産業衛生学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (21)*注記

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