書誌事項
- タイトル別名
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- Differences in behavioral responses to daily caretakers observed between male and female sheep and their age effects
説明
本研究は日常管理者に対する緬羊の行動反応における雌雄差および年齢の影響を明らかにすることを目的とした。縦横10m前後の5つの屋外パドックで周年飼育されているコリデール種雄3群計10頭(2~13歳)および雌2群計10頭(0~13歳)を供試し,日常的に給餌や掃除などの世話をしている成人男女各1名で実験を行った。測定項目は,1)採食前中後にパドックの外または中に佇立している管理者に対する接近距離,2)採食前中後にパドック内で毎秒0.5mの速度で管理者が動物に近づく時の逃走距離,3)8m×8mの区画内における捕獲時間とした。採食中は雌雄とも接近行動が見られなかったことから,採食中は管理者に対する関心が低下することが示唆された。採食後の接近距離(中央値)は,パドック外管理者に対して雄4.0m, 雌6.0m, パドック内管理者に対して雄3.3m, 雌6.0mで,雄が雌に比べて短い傾向であった。採食前は,管理者がパドック外にいる場合は雄が0.4m, 雌が1.3mであった。管理者がパドック内に入ると雌は後退行動を示した。接近距離は雄0.0m, 雌3.8mで,いずれも雄が雌に比べ有意に短かった(P<0.05)。また,雌雄とも採食前は採食後に比べ有意に短かった(P<0.05)。採食前の接近距離が短かった理由は,給餌に対する期待によって管理者に対する関心が高まるためと考えられた。雌の接近距離が雄よりも長かったのは,雌が雄よりも管理者に対する警戒心が強いことが原因と推測された。管理者がパドック内に入ることにより雌が後退したことから雌の警戒心が雄よりも強いこと,また,管理者との間のフェンスの存在は警戒心を低下させる作用のあることが示唆された。雄の逃走距離(中央値)は採食前中後とも0.0mであったが,雌ではそれぞれ,1.3m, 0.0m, 0.5mで採食前後は採食中よりも有意に長かった(P<0.05)。また,雌の採食前の値は雄よりも有意に大きかった(P<0.05)。これらのことから,雄がほとんど管理者を警戒していないのに対して,雌は採食中を除くと管理者を警戒していること,また,採食中は警戒心が低下することが示唆された。雌の捕獲時間(中央値)は52.8秒で,雄の6.4秒と比べ有意に長く(P<0.01),雌は雄よりも警戒心が強いことが裏付けられた。個体の年齢と接近距離,逃走距離,および捕獲時間との関係を検討した結果,3~4歳頃に,接近距離,逃走距離,および捕獲時間のどれもが最も長くなることが明らかになった。このことから緬羊の人に対する警戒心は3~4歳頃にもっとも強くなるものと推測された。
収録刊行物
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- 日本緬羊研究会誌
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日本緬羊研究会誌 2009 (46), 20-27, 2009
日本緬羊研究会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204701091200
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- NII論文ID
- 130004626404
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- ISSN
- 21861013
- 03891305
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可