三尖弁腱索より発生した乳頭状弾性線維腫の1例

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  • A Surgical Case of Papillary Fibroelastoma Located in the Tricuspid Valve Chordae

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乳頭状弾性線維腫は心臓良性腫瘍のなかでは粘液腫についで多く,左心系に多いとされている.今回われわれは,三尖弁腱索より発生した乳頭状弾性線維腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.検診にて心雑音を指摘され,精査したところ心臓腫瘍を認め当科紹介となった.心臓超音波検査と造影CT検査にて,右室内に約1 cmの可動性腫瘍を認め,手術適応と診断された.人工心肺を確立後,心停止下に右房を切開し,経三尖弁的に右室を観察した.前尖腱索より約9 mmの黄色イソギンチャク状の腫瘍を認めたため,腱索を含めて腫瘍を切除し三尖弁形成術を施行した.術後経過は良好で,第19病日に退院となった.病理組織学的所見では,密な線維組織と脂肪組織が混在し,乳頭状弾性線維腫と診断された.乳頭状弾性線維腫(Papillary Fibroelastoma : PFE)は原発性心臓腫瘍の約8%に認められる比較的稀な疾患である.PFEの多くは左心系に発生し,脳梗塞や心筋梗塞などの塞栓症状を引き起こすとされている.一方,小さな腫瘍や右心系に発生した場合などは,臨床的に無症状であり,検診の心臓超音波検査などで偶然発見される症例も多い.今回われわれは心雑音の精査を契機に診断された,三尖弁腱索より発生するPFEを経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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