重症大動脈弁閉鎖不全症兼狭窄症に合併した慢性腸間膜動脈閉塞症に対する一期的手術の1例

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  • A Case of One-Stage Surgical Treatment for Chronic Mesenteric Ischemia Associated with Severe Aortic Valve Regurgitation and Stenosis

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抄録

<p>重症大動脈弁閉鎖不全症兼狭窄症(severe ASR)に合併した慢性腸間膜動脈閉塞症(CMI)の1例を経験した.症例は76歳男性.40歳代よりASRを指摘されていたが,放置していた.1年前に維持透析が導入された.その頃より食後の腹痛があり,3年間で10 kgの体重減少を認めた.腹部症状の原因精査およびASRに対する心精査が行われた.C.I. 2.00 L/min/m2 の低心拍出量症候群(LOS)を呈するsevere ASRを認め,腹部血管造影で上腸間膜動脈(SMA)の完全閉塞と腹腔動脈(CA)の高度狭窄を認めた.CMIにsevere ASRによるLOSが加わり,腸管虚血が増悪していると判断した.両者の同時治療が望ましいと考え,腎動脈下腹部大動脈-上腸間膜動脈バイパス術を先行し,生体弁による大動脈弁置換術を一期的に施行した.術後回復に時間を要したが,術後1カ月で食事は全量摂取可能となり,腹部症状は消失した.弁膜症とCMIの合併は非常に稀であり,弁置換術と腸間膜動脈血行再建の同時手術の報告は本邦では検索しうる限り認めない.腹部大動脈-上腸間膜動脈バイパスと大動脈弁置換術の一期的手術により,周術期の腸管虚血を来すことなく良好な結果が得られた.</p>

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