青森県内で発生した犬のバベシア症

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タイトル別名
  • An Outbreak of Canine Babesiosis in Aomori Prefecture
  • アオモリケンナイ デ ハッセイシタ イヌ ノ バベシアショウ

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抄録

1984年9月から1985年7月までの間に, 青森県内ではこれまで発生が報告されていない犬バベシア症の19例に遭遇した.症例は全例とも土佐犬であり, 初診時の主な臨床症状は元気.食欲の減退, 褐色尿の排泄および可視粘膜の貧血であった.血液検査では, 赤血球数, Ht値およびHb量の減少が著しく, また, 網状赤血球数の著明な増加および血漿ビリルビン濃度の増加傾向が認められた.血液塗抹標本では, 全症例の赤血球内に小型で円形ないし楕円形の原虫の寄生が認められ, 本原虫に対する血清IgG抗体価は, 検索した全例で40倍以上を示していた.尿検査を実施した11例においては, ビリルビンの排泄増加が著明であり, また, 7例にHb尿を認めた.以上の臨床症状, 血液および尿検査所見, さらに赤血球内寄生原虫の形態学的特徴から, これらの症例はBabesiagibsoni感染症であると推察された.また, 対症療法ならびに抗原虫剤としてジミナゼン製剤を用いた治療を行ったところ, ほとんどの症例が10日前後で臨床症状および血液検査所見の改善が認められた.

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被引用文献 (12)*注記

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