6価クロムの生体毒性に対する2価鉄化合物の軽減効果

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タイトル別名
  • Effect of Ferrous Compounds to Reduce the Toxicity of Hexavalent Chromium on Mice
  • 6カ クロム ノ セイタイ ドクセイ ニ タイスル 2カ テツ カゴウブツ ノ

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抄録

6価クロム [K2Cr2O7;Cr (VI)] のマウスに対する毒性に及ぼす鉄化合物の影響を検討した.Cr (VI) 腹腔内投与による死亡率は, FeCl2との併用投与により著減した.Cr (VI) とFeCl2との腹腔内あるいは経口同時投与は肝臓, 腎臓のクロム含量を減少したが, 脾臓, 精巣では増加した. Cr (VI) を腹腔内に, FeCl2を経口的に投与した場合, あるいはFeCl2を腹腔内へ前投与した場合には, 臓器中のクロム含量に大きな差は認められず, Cr (VI) とFeSO4とを腹腔内投与した場合にも, 臓器中のクロム含量の変化はFeCl2と同様の成績を得たが, FeCl3あるいはFe2 (SO4) 3との併用では, その変化は極微であった. Cr (VI) とFeCl2の腹腔内投与は尿, 糞便中へのクロム排泄量を著減した. これらの成績から, 2価鉄はCr (VI) と同一経路で, 同時に投与する場合にのみ, Cr (VI) の毒性を軽減することが明らかとなり, この機序は, 2価鉄によって6価クロムが3価型に還元され, 肝臓, 腎臓へのクロムの移行量が低下したことに起因するものと考えられた.

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