XX型の性染色体を示した犬雄性仮性半陰陽の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Canine Male Pseudohermaphroditism with Female Chromosomal Pattern
  • XXガタ ノ セイ センショクタイ オ シメシタ イヌ ユウセイ カセイ ハン

この論文をさがす

説明

患犬は2年7カ月齢の四国犬で, 血統的には祖父母が同腹子であり, 本例との同腹子のなかにもう1頭の半陰陽犬が存在したという. 本犬の外陰部には陰嚢様陰唇と発育不全の陰茎骨を入れた肥大陰核を備えていた. 膣の発達はやや悪く, 陰裂も狭小であった. 内部生殖器は精巣, 精巣上体, 蔓状静脈叢, 輸精管, 精巣導帯ならびに子宮と膣から構成され, 両性が混在しているものの, 雄性が優勢であった. したがって, 本犬は形態学的には雄性傾向のきわめて強い雄性仮性半陰陽と診断された.<BR>いっぽう, 本犬の末梢血中白血球による染色体分析の結果, 染色体 (2n) の数は78, 性染色体はXX型を示し, さらに, 口腔粘膜上皮の性染色質検査の結果も雌型を示していた.<BR>このように, 本犬は表現形が雄性化の強い雄性仮性半陰陽であるにもかかわらず, 性染色体構成はXX型を示しているところから, 雄性決定因子を活性化したのはY染色体以外の要素であり, 発育不全の精巣から十分なミラー管抑制因子が産生されなかったか, あるいはミラー管のこれらに対する感受性が著しく低下していたことが想像される.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ