イバラキ病による斃死牛の病理学的観察

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タイトル別名
  • Pathological Observations on Cattle died of Ibaraki Disease
  • イバラキビョウ ニ ヨル ヘイシ ウシ ノ ビョウリガクテキ カンサツ

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鹿児島県下において1987年8月から11月にかけて, 105頭に泡沫性流涎, 飲水逆流, 咽喉頭麻痺, 発熱を主徴としたイバラキ病の発生が見られ, 16頭が斃死した. そのうち4例についてウイルス学的, 病理学的検査を行い, 下記の知見が得られた.<BR>1) 斃死牛4例中2例についてウイルス分離を試みたところ, いずれからもイバラキウイルスが分離された.<BR>2) 斃死牛は4倍ないし2, 048倍以上の中和抗体価を示した. また, 同居中の一見健康な牛は14頭中6頭が陽性を示した.<BR>3) 肉眼的には食道の弛緩と拡張, 食道筋の出血と白色斑, 咽頭筋の出血, 肺の肝変化と気腫, 気管支内の泡沫液貯留, 鼻腔内の膿様鼻汁が認められた.<BR>4) 組織学的には食道筋および咽頭筋の筋細胞の硝子様変性, 融解, 消失, 筋細胞の核の腫大, 間質結合織増生が顕著で, 2例においては重度の石灰化を認めた. 肺は重度の異物性肺炎像を示し, 口腔腺および食道腺の腺細胞は腫大, 崩壊していた. 1例において心筋細胞の萎縮, 壊死と間質結合織の軽度の増生が認められた.<BR>5) 死因は, 咽喉頭麻痺および食道麻痺による嚥下障害に起因する誤嚥性の急性肺炎であると考えられた.

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