カンテンコケムシにおける有性生殖

書誌事項

タイトル別名
  • SEXUAL REPRODUCTION IN PECTINATELLA GELATINOSA, A FRESHWATER BRYOZOAN
  • カンテンコケムシにおける有性生殖〔英文〕
  • カンテンコケムシ ニ オケル ユウセイ セイショク エイブン

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抄録

カンテンコケムシPectinatella gelatinosa OKAの有性生殖に関しては,A. OKA(1891)が個々の包休の口側内面に卵巣が形成されることを記載し,その後,H. OKA&ODA(1948)は,夏には胃緒に精巣が普通に形成されることを,記した。最近,Mukai et al.(1979)は,この種の飼育群体でも卵巣や精巣が形成されることを観察した。しかし,これまで,この種の幼生についての報告はない。筆者らは1962年8月13日に古利根から採集したこの種の群体から幼生が放出されるのを,偶然,観察することができた。幼生はほぼ卵形ないし球状を呈し,その直径は約1.2mm,口極に多少成長にずれのある大きな芽を2個もっている。また,同じ群体で胚が発達しつつある卵室を一⊃見つけた。これらの事実から,この種においても夏期に有性生殖が行われることは確かであるが,幼生の出現は極めて稀で,通常は無性的に多数形成されるスタトブラストによって生殖が営まれている。したがって,この種では有性生殖は二義的なものといえる。

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