アメリカにおけるクルマエビ属幼性の輸送

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抄録

1978年から1981年にかけての4年間に, クルマエビ属, 中南米太平洋沿岸種Penaeus vannamei, P.stylirostrisのノープリウス幼生約3億尾を中米および米国内から, フロリダ州パナマシティへ航空輸送して, それらを用いて種苗を生産し, 企業規模のエビ養殖を行ない, 次のような結果を得た。<BR>1.中米パナマ, グァテマラ, ホンデュラスから約1.8億尾のP.vannameiと, 約1.2億尾のP.stylirostrisの合計, 約3億尾のノープリウス幼生を, また, 米国内から約0.3億尾のP.stylirostrisのノープリウス幼生をそれぞれ輸送した。<BR>2.孵化後水温を徐々に下げて23~24℃として変態をやや遅らせ, 翌日早朝, 温度21~22℃, 約10lの海水, および海水とほぼ同容積の酸素ガスと共に, 25万ないし30万尾のノープリウスを各ポリエチレン袋に収容した。袋の口を密封したのち1箇ずつふた付きの発泡スチロール容器に収めて, 各地からパナマシティ宛空輸した。<BR>3.航空機による輸送時間は10~15時間であった。<BR>4.到着後のノープリウス幼生は30分間種苗生産用水槽の水面に浮かせて水温馴致を行ない, 更に10lの水槽の海水 (水温23~24℃, 塩分28‰前後) をポリエチレン袋に加えて1時間, 水面に浮かせて水温・塩分の馴致を行ったのち, 静かに水槽に放養した。<BR>5.放養後, 水槽の水温は翌朝までに28~29℃に徐々に上昇させ, ゆるやかな送気を行った。ゾエア期に変態した時点で尾数を推定した。<BR>6.ゾエア期幼生の初期飼料としては, 主にSkeletolaemac costatumを使用した。<BR>7.輸送したノープリウス幼生から, 到着後ゾエア期幼生となるまでの生残率は約60%であった。<BR>8.輸送したノープリウス幼生から生産された稚エビの総数は940万尾で, ノープリウスからの生残率は約30%であった。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 31 (2), 67-71, 1983

    日本水産増殖学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204717309312
  • NII論文ID
    130003864954
  • NII書誌ID
    AN00124667
  • DOI
    10.11233/aquaculturesci1953.31.67
  • ISSN
    21850194
    03714217
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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