マダイ受精卵の簡易輸送法について

書誌事項

タイトル別名
  • Simple method of transportation of fertillized eggs of red sea bream, Pagrus major.

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説明

マダイ受精卵を少量の海水とともに輸送した場合の影響について検討した。その結果<BR>1.輸送容器を直径9cm深さ2cmの透明ガラスシューレとした場合, 水量は4~8ccが良く, 8時間輸送で94.1~97.0%の生残率が得られた。<BR>2.卵の収容密度は, 収容海水1cc当たり100~200粒が適当で, 8時間輸送で84.2~92.4%の生残率が得られた。<BR>3.輸送期間中の温度は低いほど良く, 15℃で8時間輸送を行ったところ, 94.3%の生残率が得られた。<BR>4.輸送中の振動は, 好ましくない結果を招くようである。<BR>5.輸送時間の長短による生残状況をみると, 輸送開始後28時間までの平均生残率は77.4%で, いずれも対照区 (64.5%) を上廻った。しかし, 32時間を越えると急激に低下し, 40時間 (ふ化直前の状態) で最低となった。<BR>6.本方法で4~12時間輸送した卵をふ化後15日間飼育したところ, 生残率, 成長は対照区と同等で, 体形異常もみられなかった。<BR>本研究の実施にあたり, 南西海区水産研究所岡本亮室長には, 試験遂行中種々の御指導をいただいた。また, とりまとめにあたっては, 東京水産大学隆島史夫博士の御指導をいただいた。ここに記して謝意を表する。また, 公表の機会を与えられた東京都水産試験場伊藤茂場長および終始協力いただいた東京都小笠原水産センター木村ジョンソン氏に感謝する。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 33 (1), 12-17, 1985

    日本水産増殖学会

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