東京湾での放流ハマグリの夏季死亡に関する消化腺の組織学的観察

書誌事項

タイトル別名
  • Histological Observations of the Digestive Gland of the Hard Clam <I>Meretrix lusoria</I> and Its Relation to Summer Mortality in Grow-Out Cultures in Tokyo Bay, Central Japan
  • トウキョウワン デ ノ ホウリュウ ハマグリ ノ カキ シボウ ニ カンスル ショウカセン ノ ソシキガクテキ カンサツ

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抄録

東京湾の千葉県沿岸の貝類漁場では,放流したハマグリが夏に死亡する現象が2008年以降繰り返し発生している。著者らは放流ハマグリの死亡原因を究明する一環として,2010年4~5月に三番瀬,盤洲,富津の各放流域に設定した合計5地点でハマグリ稚貝の現場飼育実験を実施し,定期的に採取した個体の消化腺について組織学的観察を行った。盤洲河口域の2地点を除いて,三番瀬,盤洲南部および富津の3海域3地点で6~8月にハマグリの死亡が発生し,生残率は1~44%となった。死亡の発生時に採取した個体を中心に,消化盲嚢の前細管導管の上皮細胞の壊死が認められた。死亡が発生した3地点において,死亡の発生時期と消化盲嚢の異常が多くの個体で認められた時期が重複すること,前細管導管の上皮細胞の崩壊が進んで導管の内部構造が失われるほど重篤な個体が見られたことから,消化盲嚢の異常がハマグリの死亡と関係していた可能性を指摘した。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 62 (4), 353-360, 2014

    日本水産増殖学会

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