津軽海峡周辺海域におけるミズダコの移動と分布および成長

  • 野呂 恭成
    地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所 北海道大学大学院水産科学研究院
  • 桜井 泰憲
    北海道大学大学院水産科学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Migration, Distribution and Growth Patterns of the North Pacific Giant Octopus <I>Enteroctopus dofleini</I> in Waters Adjacent to Tsugaru Strait
  • ツガル カイキョウ シュウヘン カイイキ ニ オケル ミズダコ ノ イドウ ト ブンプ オヨビ セイチョウ

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説明

津軽海峡周辺海域において標識放流と漁獲物体重測定によりミズダコの移動,分布,成長を調べた。解析には1986~2007年までに放流・再捕された1,190個体のデータを用いた。放流時体重は1.60±0.7 kg(0.1-7,7 kg),再捕時体重は5.9±4.6 kg(0.7-37.0 kg),経過日数は174±132日(2-1,062日)であった。水平移動では放流場所での再捕割合が高く,地域性が強く,津軽海峡の本州側と北海道側を相互に移動・回遊し,青森県側に生息する個体の約13.5%が北海道側に移動すると推定された。垂直分布では水深2~350 m で再捕され,成長に従い深い水深帯まで分布範囲を拡げ,夏季は深い水深帯に移動していた。夏季の移動要因の一つに水温が影響していることが考えられた。成長は個体差が大きく,成長率は体サイズが大きい個体ほど低く,雌雄に有意差は認められなかった。漁獲物の体重組成と標識放流結果から,2歳,3歳,4歳,5歳に成熟体重に達する4つのグループが推定され,これら4グループは成長率が異なっていた。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 60 (4), 429-443, 2012

    日本水産増殖学会

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