「哺乳類の類縁をさぐる」,分類と形態からみたビロードネズミ属とヤチネズミ属

書誌事項

タイトル別名
  • The taxonomic history of the genus Eothenomys based on morphological characteristics
  • 分類と形態からみたビロードネズミ属とヤチネズミ属
  • ブンルイ ト ケイタイ カラ ミタ ビロードネズミゾク ト ヤチネズミゾク

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説明

日本および東アジアに分布する広義のビロードネズミ属 Eothenomys のネズミは, Corbet and Hill (1991) では11種, また Musser and Carleton (1993) では狭義の Eothenomys が9種と Phaulomys が2種とされている. しかし, これらの学名は原記載以後, 種や亜種のレベルだけではなく属のレベルでもさまざまな変遷をし, その分類に関して研究者間で十分な同意はまだえられていない. そこで, これらの種や属の分類に重要な形質である歯根形態や歯紋の特徴について, 歴史的な検討をおこなった. 属を識別する形質である歯根は, 形成する属(ヤチネズミ属 Clethrionomys)と, 終生形成しない属(Aschizomys, Eothenomys, Phaulomys, Craseomys, および Caryomys など)に分けられるが, この変化は成長過程でみられる連続的な現象である. また, 上顎臼歯紋の種による特徴も連続的に移行している. さらに, 上顎第三臼歯紋の後環の歯冠形態についても年齢的な変化における単純型と複雑型の出現がこのグループ内では連続していた. 今後, 変異を考慮してこれらの属の特徴を定めていく必要があろう.

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 38 (1), 129-144, 1998

    日本哺乳類学会

参考文献 (54)*注記

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