拡大・縮小はどこまで進んだか―北海道における在来種クロテンと外来種ニホンテンの分布―

  • 平川 浩文
    森林総合研究所北海道支所
  • 木下 豪太
    北海道大学大学院環境科学院生態遺伝学講座
  • 坂田 大輔
    北海道大学大学院環境科学院動物生態学講座 現所属:株式会社自然教育研究センター
  • 村上 隆広
    斜里町立知床博物館
  • 車田 利夫
    北海道環境科学研究センター 現所属:北海道環境生活部
  • 浦口 宏二
    北海道立衛生研究所
  • 阿部 豪
    北海道大学大学院文学研究科地域システム科学講座 現所属:株式会社野生鳥獣対策連携センター
  • 佐鹿 万里子
    北海道大学大学院獣医学研究科野生動物学教室

書誌事項

タイトル別名
  • How far have reduction and expansion progressed? The latest distribution of the native sable and introduced Japanese marten in Hokkaido
  • カクダイ ・ シュクショウ ワ ドコ マデ ススンダ カ : ホッカイドウ ニ オケル ザイライシュ クロテン ト ガイライシュ ニホンテン ノ ブンプ

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説明

北海道における在来種クロテンMartes zibellinaと外来種ニホンテンM. melampusの分布の現状を明らかにするために,2000年から2015年にかけて生息記録を収集した.その結果,ニホンテンは北海道の南西部,クロテンはそれ以外の地域に広く分布していることが明らかとなった.二つの分布地域の間には石狩低地帯(石狩湾から太平洋にかけて帯状に延びる平野部)があり,クロテンの記録は石狩低地帯内の3地域でも得られた.ただし,この3地域とも石狩低地帯中心部を流れる河川を基準としてすべて低地帯の西側に位置した.今回の結果に数例の古い生息記録を合わせて,次のことが推察された.1)ニホンテンはクロテンを駆逐しながら分布を拡大したこと,2)石狩低地帯の分水嶺より南側では,低地帯の西縁部にニホンテンがまだ到達していない可能性があるが,そうであったとしても到達は間近であること,3)今後,石狩低地帯の分水嶺より南側ではニホンテンが低地帯を超えて,さらに分布拡大が進む可能性があること.

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 55 (2), 155-166, 2015

    日本哺乳類学会

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