診断,治療に難渋した妊娠期急性虫垂炎の2手術例

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Acute Appendicitis in Pregnancy with Difficulty of Diagnosis and Treatment

この論文をさがす

説明

総合周産期母子医療センターを有する当院にて2003年1月から2009年8月までの80ヵ月間に手術を要した妊娠期急性虫垂炎は10例あり,その中で診断治療に難渋した2例を報告する。症例1:37歳妊娠22週,主訴:下腹部痛,白血球15,300/mm3 CRP12.6mg/dL。エコーでは虫垂腫大を指摘できなかったが,投薬にて抑制できない子宮収縮(胎児適応)のため試験開腹となった。虫垂はDouglas窩に潜在し,先端に膿瘍を認め,虫垂切除を行った。妊娠は継続でき正期産した。症例2:29歳妊娠32週,主訴;発熱,白血球9,400/mm3 CRP9.2mg/dL。エコーでは糞石様構造物を認めたが,MRIでは虫垂腫大を指摘できなかった。しかし持続する腹痛(母体適応)のため試験開腹となった。虫垂は後腹膜腔に穿破していたため,帝王切開にて児を娩出した後に虫垂切除術を行った。虫垂は融解しており,術式は可及的虫垂切除とドレナージとなった。術後に腸閉塞を併発したが,保存的に軽快し,術後22日目に退院となった。妊娠期の急性虫垂炎は診断に難渋し,手術の時期を逸することもある。そのため手術時機決定には疑診の段階から産科医と十分に連携し,母児双方の側面から適応を決定する必要がある。

収録刊行物

参考文献 (10)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ