内視鏡下鼻内涙嚢鼻腔吻合術の術式の改変による治療成績の向上

DOI Web Site 参考文献8件 オープンアクセス
  • 森下 裕之
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 小林 正佳
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 松永 功一
    丸の内まつなが眼科 三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学
  • 加藤 久美子
    三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学
  • 高嶌 祐布子
    三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学
  • 竹内 万彦
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Successful Outcomes of Improved Endoscopic Dacryocystorhinostomy

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説明

<p>鼻涙管閉塞症に対する手術療法である涙嚢鼻腔吻合術(dacryocystorhinostomy: DCR)は,近年経鼻的内視鏡下での施行が普及している(内視鏡下鼻内涙嚢鼻腔吻合術:endoscopic dacryocystorhinostomy, E-DCR)。本術式の問題点の1つは涙嚢鼻腔吻合部の狭窄,閉塞による症状再発であり,これを防ぐことは重要な課題である。今回,この治療成績を向上させるために,当施設で施行した術式改変の詳細と治療成績を報告する。対象症例は2010年7月から2016年8月の期間に当施設でE-DCR施行し,術後12ヵ月間経過観察できた65名77側とした。当施設で2010年から開始したE-DCRでの涙嚢開放範囲は,直視鏡または70度斜視鏡で内総涙点を確認可能な状態とすることを基準にしていた(従来法)。2013年12月からは術式を改変し,まず鼻堤を削開して鼻堤蜂巣と涙嚢を単洞化し,内総涙点と涙嚢円蓋が直視鏡下で確認可能な状態とすることを基準にした(改変法)。手術の評価については,観察期間に涙嚢が閉塞せず,涙液のドレナージが認められる状態を解剖学的改善と定義した。また,それら解剖学的改善例の中で,流涙過多または涙嚢炎関連の症状がない状態を機能的改善と定義した。従来法での解剖学的改善は46側中40側(87%),機能的改善は46側中38側(84%)であった。一方,改変法では31側全症例(100%)において解剖学的に改善し,機能的改善は31側中30側(97%)であった。解剖学的改善率において両方法の間で有意差が認められた。E-DCR術後に改善率を向上させるためには,手術時に鼻堤を削開して鼻堤蜂巣と涙嚢を単洞化するまで吻合部を広く開放することが要点であり,これが治療成績向上のために必要であると考えられる。</p>

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