癒着による索状物により回腸の途絶・閉塞をきたした1例

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タイトル別名
  • A Case Report of Bowel Obstruction with Intestinal Dissection

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73歳男性。S状結腸癌術後。腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診し,イレウスと診断され当院紹介となった。腹部X線とCTで腸管の拡張を認めたため,術後癒着性イレウスの診断でイレウス管を挿入した。イレウス管からの排液量は減少せず,症状の改善も認められなかったため,治療開始後7日目に手術を行った。開腹すると,回腸末端より30cm口側の回腸に癒着により形成された索状物(バンド)があり,回腸が強くしめつけられていた。バンドを解除すると腸管はすでに離断されていたが,腸管の粘膜面の露出は認めなかった。断裂された回腸断端を部分切除後,端々吻合を行った。術後経過は良好であった。索状物による腸管の途絶・閉塞をきたした例は極めてまれである。本症例は腸管のバンドによる絞扼が,いわゆるclosed loopの形ではなく腸管の一部を横断するように形成されていたことで腸管の途絶が生じたと考えられた。

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