片側性副鼻腔陰影を認めた手術症例の検討

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  • Review of Surgical Cases Presenting Unilateral Sinus Shadows

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<p>近年好酸球性副鼻腔炎の増加やマクロライド療法の発達により,副鼻腔陰影をきたす疾患の罹患率は変化していると報告されている。画像所見にて片側性副鼻腔陰影をきたす疾患は上顎洞癌の減少や,歯性感染症の認識,歯科の治療方針により歯原性疾患の増加などが言われている。しかし近年では,片側性副鼻腔陰影をきたす疾患の頻度を明確にした検討の報告は少ない。そこで今回われわれは片側性副鼻腔陰影をCT検査で指摘され,手術を行った症例を対象として,疾患の頻度およびCT検査所見の特徴を後方視的に検討したので報告する。2012年1月~2014年4月の間に当院で手術を施行した症例の中で,術前単純CT検査において片側性副鼻腔陰影を認めた72例を対象とした。検討項目は,骨破壊の有無,上顎洞陰影,骨肥厚,鼻中隔弯曲の有無とした。結果として72例中68例は術前診断と術後診断が一致し,慢性副鼻腔炎,歯性上顎洞炎,副鼻腔真菌症,鼻副鼻腔乳頭腫の順に頻度は高かった。また10例に骨破壊を認め,内訳として上顎洞癌4例,悪性リンパ腫,鼻腔癌,副鼻腔真菌症,歯原性粘液腫,副鼻腔嚢胞,歯根嚢胞がそれぞれ1例であった。骨破壊をきたす疾患は悪性腫瘍だけでなく嚢胞病変や骨浸潤性の感染症も鑑別に入れる必要がある。術前にCT検査を行い,術前診断をしたうえで手術を施行しており,今回の検討でこれが重要であることを再認識でき,また術前単純CTを丁寧に読影しCT所見を総合的に判断することにより鑑別できることが示唆された。</p>

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