イレウス管が誘因となった小腸潰瘍出血の1例

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  • A Case of Small Bowel Ulcer Hemorrhage Caused by an Ileus Tube

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抄録

症例は58歳の男性で,結核性腹膜炎で開腹手術の既往があった。腹痛,嘔吐で当院に紹介され,CTで癒着性イレウスと診断した。イレウス管を挿入して保存的に治療したが,減圧が不十分でイレウスは改善しなかった。入院後7日目に腹痛の増強を認めて緊急手術を施行したが,腸管壊死の所見を認めず癒着剥離のみで手術を終了した。術後2日目の午前中にイレウス管を抜去したところ,同日の夜に大量の下血を認めて出血性ショックとなった。腹部ダイナミックCTで上部空腸に造影剤の血管外漏出を認めて小腸出血と診断し,緊急開腹手術を施行して止血しえた。組織学的には漿膜の炎症性変化を伴う非特異性潰瘍であり,イレウス管による物理的外力によるものと考えられた。イレウス管による小腸潰瘍出血の報告は本邦では自験例が2例目とまれであるが,大量出血をきたし致命的になることもあり注意を要する。

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