肺癌を疑われた器質化肺炎 10 例の臨床的検討 : 気管支造影の診断的有用性について

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  • Clinical Studies of Organizing Pneumonia Simulating Lung Cancer : The value of bronchography for diagnosis

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抄録

切除標本, TBLB, あるいは臨床経過により診断された「器質化肺炎」10例を報告した。症例は, いずれも, 呼吸器系の急性感染症状をほとんど示さず, 胸部レ線上限局性腫瘤状陰影を呈したため, 当初肺癌が疑われた。気管支造影では, 病巣内や周辺領域における分枝の欠如, 壁不整, 細長い狭窄像等の特徴的所見がみられた。また, ほとんどの症例において複数の末梢気管支に造影剤流入の中絶がみられたが, これは, 肺癌にみられる中断所見とは性状を異にしていた。さらに, 症例によっては, 拡張, 領域性収束あるいは小さな空洞像が認められた。これらの所見は, 悪性疾患においては通常みられず, 炎症性病変を示唆するものと思われた。以上から本症の診断, 特に肺癌との鑑別において, 気管支造影法が極めて有用であることが明らかとなった。腫瘤状陰影を呈する症例に対しては, 不必要な開胸手術を回避するためにも, 詳細な臨床経過の把握と共に気管支造影を含む有効な診断的アプローチが不可欠であることを強調した。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 5 (3), 245-254, 1983

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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