ダブルルーメンチューブカフの大量誤注入による左主気管支膜様部破裂の1手術例

書誌事項

タイトル別名
  • Left Main Bronchial Rupture due to False Overinflation of the Double-lumen Tube Cuff

この論文をさがす

説明

背景.気管挿管で稀ながら起こり得る重篤な合併症として,気管気管支損傷がある.症例.82歳,女性.大腸癌の転移性肺腫瘍切除目的に手術となった.分離肺換気のため左気管支用ダブルルーメンチューブを挿管したが,介助者が気管支用カフに大量誤注入し,左主気管支膜様部破裂をきたした.結果.右気管支用ダブルルーメンチューブに入れ替え,可及的に低気道内圧の左片肺換気下に,右開胸で修復手術を行った.縦隔胸膜切開後は換気不十分のため随時右肺換気を併用しつつ手術を続行した.左主気管支膜様部に長軸方向約2 cmの亀裂を認めたため,縫合閉鎖した後に有茎肋間筋弁を縫着し,上層にフィブリン糊を散布した.転移性肺腫瘍は自動縫合器で肺部分切除した.術後は創感染を合併したが重篤な合併症なく退院となった.結論.気管気管支損傷の予防と対処について熟知する必要がある.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 38 (2), 114-117, 2016

    日本呼吸器内視鏡学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ