最近2年間に当院で経験した肺放線菌症5例の臨床的検討

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タイトル別名
  • Five Cases of Pulmonary Actinomycosis

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抄録

背景.肺放線菌症はまれな疾患とされるが,近年報告数は増加する傾向がある.症例.2005年4月から2007年7月までに診断された肺放線菌症の5例.結果.5症例は,29歳から71歳,男性4名,女性1名.全例が血痰を主訴としていた.口腔内病変として2例で齲歯,2例で歯肉炎が認められた.胸部CT検査では全例で胸膜肥厚を伴う腫瘤影または浸潤影を呈し,2例で空洞,2例で内部の低吸収域を伴っていた.気管支鏡検査は全例で施行され,3例は経気管支生検まで実施,他2例は気管支洗浄,擦過細胞診のみ行った.確定診断は,1例は経気管支生検,2例は気管支洗浄・擦過細胞診による菌体の鏡検,1例は擦過細胞診による鏡検と気管支洗浄液の培養による同定,1例は部分切除術による組織標本より診断に至った.治療は,1例は外科的切除後に抗生剤投与,3例は抗生剤投与のみ,1例は外科的切除術のみであった.4例は治癒したが,1例は喀血による低酸素脳症のため永眠された.結論.肺化膿症における早期の気管支鏡検査は,肺放線菌症の診断に有用である.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 30 (4), 179-186, 2008

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (11)*注記

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