外傷性肩関節脱臼に合併する神経麻痺についての検討

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説明

肩関節脱臼により障害される神経として腋窩神経以外の神経麻痺を合併することも稀ではない.今回,低エネルギーでの肩関節脱臼に伴う神経麻痺22例を対象として,麻痺発生頻度と各損傷神経の回復過程を検討した.損傷神経の発生頻度は肩甲上41%,腋窩73%,筋皮41%,橈骨59%,正中73%,尺骨64%であった.麻痺回復期間は,各神経の代表的支配筋間で有意差はなかったが,近位筋(三角筋;腋窩,上腕二頭筋;筋皮,橈側手根伸筋;橈骨)と遠位筋(小指外転筋;尺骨,示指深指屈筋;正中)と定義して比較すると,近位筋が3.6±1.8ヶ月,遠位筋が10.3±8.9ヶ月で,後者の回復が前者より有意に遅れていた.回復期間に影響を及ぼす可能性のある因子の比較において,軸索変性の有無を比較すると,遠位筋麻痺では軸索変性があると有意に回復が遅かった.遠位筋麻痺症例では軸索変性の有無の鑑別により回復時期の判断が可能であり電気生理学的検査を行うことが望ましい.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 40 (2), 631-634, 2016

    日本肩関節学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204757942912
  • NII論文ID
    130005420552
  • DOI
    10.11296/katakansetsu.40.631
  • ISSN
    18816363
    09104461
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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