肩甲下筋腱断裂における層間剥離の検討

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説明

肩甲下筋腱(以下SSC)断裂における層間剥離の存在は詳しく述べられていない.今回,鏡視下修復術を行った全層性のSSC断裂39例について,層間剥離の頻度,関節鏡所見,術後1年以上での臨床成績を調べた.39症例中,層間剥離を認めた症例は10例であった.SSC断裂断端の引き込みの程度(井手分類)がminimal14例で層間剥離はなし,moderate15例で層間剥離は3例,severe10 例で層間剥離は7例に認められ,層間剥離の出現は断端の引き込み程度と相関した.Comma sign(Burkhartら)は層間剥離全例に認められ,いずれも滑液包側に連続していた.Severeの7例全例で,関節包側断端が滑液包側断端より引き込みが強かった.上腕二頭筋長頭腱(以下LHB)の脱臼または1/2以上の断裂が層間剥離全例に認められた.belly press test,関節可動域,JOA score,およびMRIによる腱板修復状態(菅谷分類)は,術後に層間剥離が認められた症例と認められなかった症例で差を認めず,SSC修復の術後成績は,層間剥離の有無によらず良好であった.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 38 (2), 632-636, 2014

    日本肩関節学会

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