腱板広範囲断裂に対する上方関節包再建術と大腿筋膜移植術の比較

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説明

腱板広範囲断裂に対する鏡視下上方関節包再建術(以下ASCR)と大腿筋膜移植術(以下PG)を,適応を決めずに交互に施行し治療成績を検討した.対象は術後1年以上経過を観察できた19肩である.ASCRは9例10肩(男6肩,女4肩,平均年齢62歳),PGは9例9肩(男7肩,女2肩,平均年齢65歳)であり,観察期間は18ヵ月であった.JOAスコアはASCR群で術前56.1点から術後85.6点へ,PG群で56.9点から82.0点へ有意に改善したが両群の差は認めなかった.肩関節自動外旋はASCR群で術前17度から術後34度,PG群で12度から21度となりASCR群が良好な改善を示した.術後12ヵ月時MRIで移植腱の連続性を認めたのはASCR群で7肩,PG群で6肩であり再断裂率は双方ともに約30%であった.腱板広範囲断裂に対するASCRとPGの成績は外旋可動域以外に差はなく,肩甲下筋腱が断裂しているものについてはともに修復を維持することが困難であった.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 39 (2), 470-473, 2015

    日本肩関節学会

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