書誌事項
- タイトル別名
-
- Fluent recurring utterance and non-fluent propositional utterance in a case of aphasia.
この論文をさがす
抄録
特異な再帰性発話 (RU) を一例の脳梗塞の症例に観察した.本例の言語症状の特徴は, (a) 非流暢な意図的・命題的発話と, (b) 「こあてこあて…」という流暢な自動的・常同的発話との混在であり, これを主として以下の観点から考察した.<br> (1) RU の経過を論じた Alaiouanine (1956)の四段階説を本例に適用するならば, 本例の発話構造は RU と随意的な発話とが混在する「浮動的発話の段階」に相当する.<br> (2) 本例の失語型に関しては, (a) の失構音と失文法を中心とする Broca 失語の要素と, (b) の流暢な RU を呈する「非標準的流暢性全失語」 (Poeckら, 1984)の要素との, 「混合失語」 (mixed aphasia) と評価することが適切であろう.また本例の発話には, 言語の意図的要素と自動的要素が同時に混在するとも考えうる.<br> (3) 本例の RU の出現頻度は場面や状況によって異なっていたが,これには課題の難易度との関係が示唆され, またストレスを回避しようとする目的論的解釈 (Weinsteinら, 1974) が可能であった.
収録刊行物
-
- 失語症研究
-
失語症研究 8 (4), 328-334, 1988
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001204761864448
-
- NII論文ID
- 130004893263
-
- ISSN
- 18806716
- 02859513
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可