日本語・韓国語二言語使用者失語症例の検討 漢字・仮名,漢字・ハングルの対比を中心に

  • 木島 理恵子
    東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系
  • 吉野 眞理子
    東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系 横浜市総合リハビリテーションセンター
  • 河村 満
    昭和大学医学部神経内科
  • 河内 十郎
    東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系
  • 白野 明
    横浜市総合リハビリテーションセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Patterns of Kanji vs. Kana or Hangul deficits in a Japanese-Korean bilingual aphasic patient: A case report.

この論文をさがす

説明

日本語・韓国語二言語使用者失語症例において,両言語の障害を特に日本語における漢字・仮名障害と韓国語における漢字・ハングル障害との対比を中心に検討した。<br>    症例は65歳右利き男性。脳梗塞 (左中大脳動脈領域) による右片麻痺と重度の失語が認められた。日本語と韓国語の習得および病前の使用状況は,口頭言語・文字言語のいずれにおいても両言語で同等であった。標準失語症検査,表出面の検査,聴覚理解検査,読み理解検査を両言語について実施したところ,すべての検査で両言語がほぼ同様の成績を示した。さらに,両言語ともに仮名・ハングルに比べ漢字が良好という同様の障害パターンが認められた。これは,本症例が2つの言語を同程度に習熟していたことに加え,日本語と韓国語の言語構造の諸側面が類似していることの結果であると考えられ,これらの要因により,本症例における両言語の脳内機構が同様であった可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 失語症研究

    失語症研究 17 (1), 1-9, 1997

    日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能学会)

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (25)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ