板金構造品用CAD/CAMシステムの開発

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  • バンキン コウゾウヒンヨウ CAD CAM システム ノ カイハツ

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抄録

3.1新開発システムの効果<BR>本システムは,1976年4月に日本電気(株)玉川事業所に設置され稼動を開始した.図8は,BEPPにより出力された図面の一例である.図9は,NESTによる自動配置と加工経路決定の結果を示している.試行テストの結果を,従来のシステムと比較すると,設計工数で48%,加工工数で60%の低減効果を得た.又,約30%の材料節減も報告されている.各工程別の詳細効果を表2に示すが,全般的に従来の人手作業における情報の誤解や不徹底等に起因するトラブル,待ち時間が格段に削減され,工場従事者の志気を高揚させるという付随的効果も確認されている.<BR>3.2他の改善案との比較検討<BR>本システムの開発段階では,以上の最終案に到達するまでに,他の数案もテスト評価されたが,その一部について紹介する.<BR>1)ライン化フローショップ<BR>別案として,板金構造品の各工程に対し,流れ作業(ライン化フローシ滋ヅプ)システムを設定し,スケジューリングソフトウェアにより試行してみた.その結果を表3に示す.当初,机上計算では約49%のコストダウンを期待したが,実測実験では両者の問に,有意差を見い出せなかった.これは,各作業工程が作業者の経験や,人的条件によりその効率を異にしているため,平均値的標準時間によるスケジューリングが予想通りに作動しないことを意味していると考えられる.<BR>2)BB法による経路決定<BR>工具経路の決定手法については,最近接パス法とBB法との適用比較を行った.この場合,両方法における効果を加工総所要時間(加工コスト)で表したものと,両方海こおける費用をコンピュータ使用時問(コンピュータコスト)で表したものとの比較で評価した.その結果,加工すべき穴数(都市数)が二十数点という少ない場合では,効果,費用ともにほぼ同じであった.しかし,穴数を増加していくと,効果において両方法とも実利を満足しながらも,僅少差でBB法の方が上回りながら直線状態で推移し,一方,費用の点ではほぼ二次曲線状態でBB法の方が最近接パス法を大きく上回る傾向が見られた.本適用例においては,1ジョブにおける平均穴数が90~120と算出されたので,ソフトウェアの簡便さとコストパフォーマンスにおける実利を考慮し,最近接パス法を採用した.

収録刊行物

  • 精密機械

    精密機械 45 (531), 348-355, 1979

    公益社団法人 精密工学会

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