当施設における内リンパ嚢高濃度ステロイド挿入術
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- 北原 糺
- 大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
書誌事項
- タイトル別名
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- Endolymphatic sac drainage and steroid-instillation surgery for intractable Meniere's disease
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説明
当施設では、難治性メニエール病と診断された症例に対して、内リンパ嚢への高濃度ステロイド局所投与を行っている。本論文では、その手術手順と、適切に完遂するためのポイントを述べたい。<br>従来の内リンパ嚢開放術に準じて耳後切開後、キヌタ骨窩、外側半規管隆起を目標に乳突削開を進める。後半規管の後下方の骨削開により、後頭蓋窩硬膜を広範囲に露出する。内リンパ嚢を同定し、外壁に切開を加え翻転する。嚢内腔にゼラチン・フィルム束5枚重ねを挿入し、一端を外耳道後壁に接着させることで嚢を大きく開放する。嚢内腔にプレドニゾロン塊を挿入溶解させ、ゼラチン・フィルム束の挿入後にデキサメタゾン添加のゼラチン・スポンジを嚢内外に留置する。<br>難治性メニエール病に対する内リンパ嚢手術は、多くの場合側頭骨の含気が非常に良く、術中オリエンテーションの判断を誤ると即、内耳や顔面神経を傷付けることになる。したがって、側頭骨内の構造物の何を目標に手術を進めていくかを、日頃から意識して手術に臨む必要がある。<br>内リンパ嚢手術は、機能温存術であるがゆえに弱点は症状再発である。数年経って再発するような症例には、内リンパ嚢開放術の再手術が有効とされる。本論文にしたがって確認した初回手術時の所見は有用であり、再手術時の副損傷リスクを回避し、手術時間の短縮にもつながり、場合によっては局所麻酔下に施行も可能と考える。
収録刊行物
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- Otology Japan
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Otology Japan 24 (1), 49-52, 2014
一般社団法人 日本耳科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204773031424
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- NII論文ID
- 130005086429
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- ISSN
- 18841457
- 09172025
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可