右脚ブロックの消失に伴い右側胸部誘導で異常Q波が消失しr波の出現した前壁中隔梗塞の一例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of anterioseptal myocardial infarction in which abnormal Q wave disappeared and r wave appeared in right lateral thoracic leads according with disappearance of right bundle block.

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説明

症例は35歳の男性で左前胸部絞扼感と冷汗を主訴に受診した.心電図では完全房室ブロックとV1-2にQ波を, V1-5にST上昇を認めた.CPKは573IU/Lと上昇し, 急性前壁中隔梗塞と診断した.第16病日に右脚ブロックが消失しV1-3にr波が出現した.翌日には再び完全右脚ブロックに戻り, V1-3でr波は消失しQ波が出現したが, 自覚症状はなく, 酵素の変動も認めなかった.1ヵ月後に行った冠動脈・左心室造影検査では, 左冠動脈前下行枝起始部の完全閉塞と右冠動脈の99%の高度狭窄, および心室中隔と左心室前壁・心尖部のアキネジアを認めた.右脚ブロック消失時に右側胸部誘導に出現したr波は右室由来の可能性が考えられた.<BR>本症例の様に, 新たな心筋虚血の関与がないにもかかわらず心筋梗塞に合併した右脚ブロックの出現・消失に伴いQRS初期成分が変化することがあり, 注意を要すると思われる.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 8 (5), 723-728, 1988

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

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