慢性心不全に対するICD, CRTDの1次予防効果

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タイトル別名
  • Device Therapy for Heart Failure Patients ; the Present Status and the Future

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説明

心不全患者における不整脈による心臓突然死は心不全死と並ぶ最大の死因である.そのため心不全患者の生命予後の改善を図るうえで,致死性不整脈の発生を未然に防ぐことはきわめて重要である.しかしながら,現在までに植込み型除細動器(ICD)の1次予防効果を確認した大規模試験はすべて欧米で行われたもので,これらの結果をそのまま我が国に外挿することには問題がある.特に我が国の心筋梗塞患者の予後は欧米に比べて良好といわれているが,実態に即しているか否か適切なリスク評価が望まれる.心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy : CRT)は心臓の非同期的収縮と左心機能低下を有する患者において,QOLのみならず総死亡や不整脈死も改善させることが証明されているが,CRTにICDの機能を搭載したCRT-Dはより一層,生命予後の改善に貢献することが期待されている.最近の大規模試験はより軽症な心不全患者にもCRT-Dが有効であることを証明しており,同治療法の適応拡大は今後の潮流といえる.CRT-Dを用いることの最大の問題は,不適切あるいは不必要なショックの送出である.今後はショックを可能な限り抑制するアルゴリズム,設定の工夫が要求されるであろう.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 32 (4), 400-409, 2012

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (17)*注記

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