-
- 緒方 康介
- 大阪府岸和田子ども家庭センター
書誌事項
- タイトル別名
-
- Testing for Factorial Invariance of the WISC-IV:
- Children With Borderline Intellectual Functioning
抄録
<p> DSM-IV-TRにおいて,境界知能の定義は知能指数が71―84に入ることである。教育臨床では,しばしば支援対象となる生徒の一群であるにもかかわらず,研究の蓄積は極めて乏しい。本研究では,児童相談所でWISC-IVを受検して,境界知能と判定された8歳以上の子ども295名(女児100名)を境界群,切断(選抜)効果を確認するために設けられた8歳以上でIQが86―99の対照群262名(女児108名)が,シミュレーションによりノルムを模して生成された乱数群1,285データと比較分析された。下位検査間の相関行列を確認すると,境界群と対照群にはIQ範囲を制限して構成されていることによる切断(選抜)効果が確認された。しかしながら,理論モデルとされた4つの因子が互いに相関するWISCモデルに対して,多母集団同時分析により3群間での因子不変性を検証したところ,境界群・対照群・乱数群の3群間で測定不変モデルが成立していた。すなわち,相関係数が切断(選抜)効果により著しく低められていたにもかかわらず,WISC-IVモデルに関して,境界知能児は一般児童と等質な知能が測定されているものと考えられた。因子不変性の確認を通して,本研究は知能測定における基本的な知見を導出できたものと結論された。</p>
収録刊行物
-
- 教育心理学研究
-
教育心理学研究 65 (4), 466-476, 2017
一般社団法人 日本教育心理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001204785722880
-
- NII論文ID
- 130006391509
-
- ISSN
- 21863075
- 00215015
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可