看護学生の越境と葛藤に伴う教科書の「第三の意味」の発達

書誌事項

タイトル別名
  • Texts’ “Third Meaning” Developed by Student Nurses Through Boundary-Crossing and the Conflict Between Their Classroom Learning and Clinical Practicum
  • 看護学生の越境と葛藤に伴う教科書の「第三の意味」の発達 : 学内学習-臨地実習間の緊張関係への状況論的アプローチ
  • カンゴ ガクセイ ノ エッキョウ ト カットウ ニ トモナウ キョウカショ ノ 「 ダイサン ノ イミ 」 ノ ハッタツ : ガク ナイ ガクシュウ-リンチ ジッシュウ カン ノ キンチョウ カンケイ エ ノ ジョウキョウロンテキ アプローチ
  • —学内学習-臨地実習間の緊張関係への状況論的アプローチ—

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抄録

本研究は, 従来の学内学習と現場実践との関係に関する議論を, 状況論の立場から検討し, 従来の徒弟制重視説や学内学習固有機能説に代わる, 緊張関係説を示した。これに基づき, 学内学習から臨地実習への看護学生の学習過程を調査した。学内学習を経て臨地実習を終えた学生に半構造化面接を行い, グラウンデッドセオリーアプローチによる分析を行った。その結果, 看護学生は, 学内学習では, 教員の指導にかかわらず, 架空の患者との相互行為を通して, ほぼ教科書通りの実践にとどまっていた。しかし, 臨地実習で, 本物の患者や看護師との, 学内とは異なる相互行為を通して, 教科書的知識を「現場の実践を批判的に見せるが柔軟に変更もすべき道具」と見なすように変化した。これを本研究では, 学内-臨地間の緊張関係から生まれる, 第1の学内学習のみにも, 第2の臨地での学習にも還元できない独特な知識, つまり「第三の意味(知)」ないし「越境知」として議論した。また, 学内と臨地の各場面での相互行為過程を, 「異なる時間的展望同士が交差・衝突し変化する過程(ZTP)」として考察した。最後に, 結果に基づき, 省察やリアリティ豊かな学習を促進する, 「越境知探求型の学習」を提案した。

収録刊行物

  • 教育心理学研究

    教育心理学研究 60 (2), 167-185, 2012

    一般社団法人 日本教育心理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (6)*注記

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