CNVの構成成分からみた競争事態における認知および行動の特徴

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  • The effects of competitive situations on cognitive processes and behavior as evaluated by the CNV components

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抄録

社会心理学的ストレスは個人によってその受け止め方はさまざまである.本研究では社会心理学的ストレスの一つとして競争事態を取り上げ,競争事態において予告刺激を伴う反応時間課題を実施し,その時の行動と随伴性陰性変動(CNV)を調査した.競争心の高い被験者または競争心の低い被験者が,姿の見える相手または見えない相手とともにその課題を行った.覚醒レベルの指標としての早期CNVおよび運動準備または刺激への期待の指標としての後期CNVが,主成分分析(PCA)によって分析された.その結果,競争心の低い人では,競争に勝った時に後期CNVの増大と反応時間(RT)の短縮が観察され,また競争相手が見える場合に早期CNVの増大とRTの短縮が認められた.競争心の高い人では,競争相手が見えない場合よりも見える場合に後期CNVの増大が見られたが,RTの結果とは対応していなかった.早期CNVは前頭部に優位な分布を示した.後期CNVは中心部から頭頂部および正中部から右半球にかけて優位な分布であったが,この分布は刺激先行陰性電位(SPN)の分布に類似している.以上の結果から,競争心の低い人は運動準備がよいときに競争に勝ち,そして競争相手を強く意識した場合に覚醒レベルが上昇すること,競争心の高い人は相手を強く意識した場合に勝敗結果へのこだわりが強くなる傾向のあることが示唆された.

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