山陰地方の気候風土に根ざした環境デザイン

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タイトル別名
  • Environmental designs with adaptation to climate in the San-in region
  • サンイン チホウ ノ キコウ フウド ニ ネザシタ カンキョウ デザイン

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抄録

山陰地方には伝統的な暮らしが現在でも色濃く残り,気候風土に根ざした環境デザインの事例が多く存在する.なかでも風,特に冬季の季節風への対処に様々な工夫が見られる.出雲斐川の築地松(ツイジマツ)は黒松を垂直に刈り揃えた独特の形態の屋敷林として広く知られている.隠岐島後,久見集落では松のカキヤネ,イタカベ,タケカベ,ササカベといった植物や自然素材を有効に活用した風よけが存在する.中村集落では防風,防砂のための松林が住民の憩いの場,リクリエーションの場として活用されコミュニティの醸成に役立っている.隠岐島後の他の集落でもイタガコイ,タケガコイと呼ばれる身近な自然素材を使用した風よけが存在する.東出雲町畑集落では,柿の木畑と干柿づくりのための柿小屋(カキゴヤ)が織りなす美しい集落景観のなかで,集落をあげて風土に根ざした特産物である干柿をつくっている.山陰地方では島根半島を中心にして伝統的建築には,棟石(ムネイシあるいはムナイシ)と呼ばれる地産の来待石を加工した棟抑えを屋根に載せるのが特色である.

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