振戦疾患患者におけるアルキメデス螺旋描写動作への筆跡有無の影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of visible or invisible handwriting on drawing the Archimedes spiral in tremor disease patients

この論文をさがす

抄録

日常生活において不随意に手足がふるえるパーキンソン病(PD)や本態性振戦疾患(ET)の患者がいる.彼らは振戦を制御できないために,茶を注ぐ,字を書く等の日常生活が困難となっている.我々は,これら病的振戦を抑制する方法としてバイオフィードバックを用いることを考え,そのための基礎データを収集するために3軸型加速度計,ペンタブレット及びPCからなる振戦計測システムを構築した.さらに,このシステムを用いて患者の書字動作が筆跡の有無によって影響を受けるかどうかを調査した.被験者はPD患者10名(PD群),ET患者8名(ET群)とした.予め,被験者の振戦の程度を医師により分類した.被験者は事務椅子に座り,タブレット上のアルキメデス螺旋図形を描写した.被験者には,正確に図形を描写するよう指示した.加速度計は被験者の利き手人差し指に装着し,被験者は以下の2つの条件(筆跡なし条件と,筆跡あり条件)にて螺旋描写実験を行った.その結果,筆記加速度の振幅は被験者の振戦重症度と高い正の相関を示した.PD群,ET群とも,筆跡有の条件で,筆記加速度の振幅は有意に大きくなった.またPD群においては,筆跡有の条件で描写図形の乱れが有意に大きくなった.以上のことより,振戦疾患患者のバイオフィードバック訓練システム構築における,加速度指標の有用性が示唆された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ