慢性に経過した薬剤性肝障害の1例

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タイトル別名
  • A case of drug-induced chronic hepatitis

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説明

症例は48歳女性, 全身倦怠感あり, 肝機能異常指摘され紹介受診となる. T-Bil 0.5mg/dl, AST 802IU/l, ALT 249IU/l, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性, 病歴より薬剤性による肝障害が疑われリンパ球刺激試験施行. 内服していた強力わかもと, Senna, 椎茸酵素が陽性となった. その後, 原因薬剤中止するも強力わかもとは3年3カ月を経ても陽性で, ALT値正常化せず. 途中施行した腹腔鏡検査にて肝硬変と診断された. 平成11年より甲状腺腫大と機能低下を認め慢性甲状腺炎と診断. また, 皮疹があり尋常性乾癬と診断された. 薬剤性肝障害は, 原因薬剤中止によりほとんどが軽快するが, 稀に遷延化するとされる. しかし, 複数の市販薬剤により慢性肝炎の病態をとり肝硬変にいたる例は報告がない. 経過中, 自己免疫性機序による疾患が認められ, 自己免疫異常と薬剤性肝障害の関与が推察される興味深い1例と考えた.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 41 (10), 716-719, 2000

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (13)*注記

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