肝生検後35年経過して発症し経カテーテル的肝動脈塞栓術によって門脈圧亢進が著明に改善した肝内動門脈瘻の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of portal hypertension caused by intrahepatic arterio-portal fistula formed after percutaneous liver biopsy 35 years previously, markedly improved by transcatheter arterial embolization against the fistula
  • 症例報告 肝生検後35年経過して発症し経カテーテル的肝動脈塞栓術によって門脈圧亢進が著明に改善した肝内動門脈瘻の1例
  • ショウレイ ホウコク カン セイケンゴ 35ネン ケイカシテ ハッショウシ ケイカテーテルテキ カン ドウミャク ソクセンジュツ ニ ヨッテ モンミャクアツ コウシン ガ チョメイ ニ カイゼンシタ カンナイ ドウモンミャクロウ ノ 1レイ

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説明

症例は80歳女性.1972年頃に薬物性肝障害の疑いで2回肝生検を行われている.2007年5月に腹部超音波検査で大量腹水を指摘され紹介となった.血液検査では汎血球減少と肝胆道系酵素上昇を認めた.5年前のCTと比較すると肝両葉とも萎縮が著しく,肝動脈造影で右肝動脈は拡張,蛇行し,門脈の早期描出を認め,右肝動脈と門脈右枝との間に短絡路を形成していた.上部消化管内視鏡検査ではRC sign陽性の食道静脈瘤を認めた.肝内動門脈瘻による門脈圧亢進症と診断し,コイルによる肝動脈塞栓術を施行した.術直後に門脈血流は求肝性となり,治療後早期に腹水消失,血清学的検査所見の改善,食道静脈瘤の消失,肝形態と萎縮の改善を認めた.肝生検後35年の経過を経て有症状化した肝内動門脈瘻の症例で,肝動脈塞栓術により劇的に血行動態が改善し,各所見が可逆性変化を示した興味深い症例であった.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 49 (11), 506-511, 2008

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (29)*注記

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