長期観察が可能であった多発性肝膿瘍合併化膿性門脈血栓症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of long-term follow-up of pylephlebitis with multiple liver abscesses
  • 症例報告 長期観察が可能であった多発性肝膿瘍合併化膿性門脈血栓症の1例
  • ショウレイ ホウコク チョウキ カンサツ ガ カノウ デ アッタ タハツセイ カン ノウヨウガッペイ カノウセイ モンミャク ケッセンショウ ノ 1レイ

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説明

<p>症例は50歳代男性.発熱と上腹部痛を主訴に近医より紹介となった.血液検査で好中球優位の白血球上昇,CRP上昇,プロカルシトニンの異常高値を示し,腹部造影CTで多発肝膿瘍・門脈血栓症を認めたため化膿性門脈血栓症を疑い門脈穿刺したところ膿瘍が吸引されたが起炎菌は同定できなかった.抗菌薬と抗凝固薬による治療にて肝膿瘍は改善したが門脈血流の再開を認めなかった.その後,炎症反応・感染徴候は改善したもののこれ以上の門脈血流の改善は期待できなかったため退院となり,紹介元の病院にて定期的な外来通院となった.退院後,再発や症状の悪化などは認めなかったが,退院2年後の腹部CTでは門脈右枝は器質化閉塞を来しA-P shuntおよび僅かな側副血行路を認めるものの肝右葉が著明な萎縮を伴っていた.また,退院4年後の腹部CTでも肝右葉後区域は著明に萎縮したままであった.化膿性門脈血栓症の治療後の長期経過を報告した症例は稀で,これまでは長期経過観察の重要性は知られていなかった.しかし,再発や症状の悪化がなくても門脈閉塞の再開を認めない場合には肝萎縮が著明となることから,退院後も長期に渡る定期的な経過観察が重要である.</p>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 58 (2), 123-130, 2017

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (5)*注記

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