乳児GER に対する治療経験:Nissen の噴門形成術は必要か?

  • 奥山 直樹
    新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科学分野 新潟県立中央病院小児外科

書誌事項

タイトル別名
  • Non-Surgical Management of the Infants With GER: Is the Nissen’s Fundoplication Necessary for All Infants With GER?
  • ニュウジ GER ニ タイスル チリョウ ケイケン : Nissen ノ フンモン ケイセイジュツ ワ ヒツヨウ カ?

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抄録

【目的】本邦のワーキンググループの検討から,24 時間食道内pH モニタリングにて下部食道内pH<4.0 時間率(pH index)は4%をcut off 値とすると提案され,食道pH モニタリング検査は乳児GER を診断するうえで信頼できる検査となっている.当科における乳児GER の経験から長期治療の結果と問題点を示す.<br>【方法】GER が疑われた乳児40 例に対し食道pH モニタリングを施行しpH index が4.0%以上を示した21 例をGER と診断した.まず保存的治療を開始し,保存的治療が奏功しない重度の症例にNissen 手術を施行した.<br>【結果】GER 21 例中保存的治療にて症状が改善した非手術施行群が16 例(76.2%)あり,手術施行群は5 例(23.8%)あった.非手術施行群16 例のなかで10 例は原疾患のないprimary GER で,6 例は先天性食道閉鎖症,先天性横隔膜ヘルニアなどの術後やその他の疾患にて手術を受けたsecondary GER であった.手術施行群5 例のなかで4 例は中枢神経疾患などに伴う重症心身症合併例であり,他の1 例は食道閉鎖症術後のsecondary GER であった.治療開始前のpH index(平均値)は非手術施行群で11.8%,手術施行群で20.3%と手術施行群が有意に高値を示した.<br>【結論】GER の全てが外科治療の適応になることはなく,特に原疾患や器質的異常のないprimary GER は手術が不要であった.我々はGER と診断して治療を開始する前にGER の背景や症状の強さを検討すべきである.

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