職業が関与していると考えられた黒皮症の6例

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  • ショクギョウ ガ カンヨシテ イル ト カンガエラレタ コクヒショウ ノ 6レ

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抄録

職場で接触する化学物質,特にタール,切削油,鉱物油などが原因で起る黒皮症は,中毒性黒色皮膚炎として1917年にHoffmanらが最初に報告している。今回われわれは職業が関与していると考えられた黒皮症6例を経験した。<BR>症例1,37才,♀,ワイシャツ縫製業,螢光増白剤にパッチテスト陽性を示した。症例2,50才,♀,工員(合板製造)セメント,木粉,フェノールに陽性を示した。症例3,46才,♀,工員(鉄工所)防錆剤,切削油に陽性を示した。症例4,53才,♀,果樹園経営,ウルシオール,コバルト,水銀,ホルマリン,皮に陽性,0.1%農薬4種に陽性を示した。症例5,40才,♀,石油類販売,クロム,ニッケルに陽性を示した。灯油,ガソリン,オイルのOpen patchは陰性であった。症例6, 53才,♀,工員(研磨に従事)研磨液,灯油,防錆油のOpen patchに陽性を示した。症例1,2はアレルギー性皮膚炎により,症例3,6は一次刺激のくりかえしによる皮膚炎により,症例4,5はアレルギー性皮膚炎と一次刺激性皮膚炎の両者により発症した黒皮症であり,すべて職業が関与していると考えられた。

収録刊行物

  • 皮膚

    皮膚 23 (6), 780-785, 1981

    日本皮膚科学会大阪地方会

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