低位鎖肛 (肛門膣前庭部瘻) に対する肛門移動術,Potts 術の成績

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Potts' Procedure for Patients With Anovestibular Fistula as Low Type Female Anorectal Malformation

この論文をさがす

説明

肛門膣前庭部瘻症例に対する肛門移動術,いわゆる Potts 術は40例であった.術後合併症およびその治療を中心に,治療成績や術前後管理を検討した.Potts 術の施行時期は,新生児〜2ヵ月6例,3ヵ月〜1歳28例,1歳以上6例であった.1980年までの23例中,人工肛門造設後施行例は8例であり,手術時年齢は新生児から幼児までおよんだ.1981年以降は診断,治療方針ともに統一され,17例全例人工肛門なしで一期的に5-11ヵ月の乳児期 (平均7.6ヵ月) に施行された,術後合併症のために再手術した症例は瘻再開通6例,肛門狭窄2例,粘膜脱1例であった.瘻再開通は1歳以上の幼児例に多かった.合併症の原因として,膣損傷や直腸の過剰の剥離長など手術操作と,直腸拡張,宿便,会陰皮膚炎など手術前管理の問題があった.瘻再開通の治療としてブジー,浣腸療法を行い便意発現後の3-6歳に中心静脈栄養管理下に,瘻孔抜去術 (vestibulo-anal pull-through) を行った.Potts 術の術前管理としては,毎日瘻孔のブジー拡張 (ネラトン15号,硬質1号) を行う一方,浣腸により宿便を防ぎ,術中は副損傷を避け,術後は中心静脈栄養管理とし,6-8日目より水分投与,1週間-10日目頃より経口摂取を開始し,2週間目頃よりブジーを間始する方針とした.また術後1年は浣腸,坐薬,緩下剤による排便促進と硬質1-2号,母親の示指によるブジーを行った.これらの術前後管理により,最近9年間は瘻再開通はない.術後の排便機能では便意発現の2-3歳までに60%が,5歳までに90%が自然排便が可能となった.

収録刊行物

参考文献 (16)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ